生活記録

日々のこと(旧はてなの茶碗)

「ゐ」の意味(續)

それらはいづれも「居(ゐ)」といふ語に随つてゐるから「ゐ」なのであつて、「ゐ」といふ文字に意味があるのとは少し異るのではないでせうか。舩木さんの仰る語としての意味合ひとはさういふことだと思ひます。

私は「文字」に意味があると言ひたいのではないのです。

例へば「い」一文字で「胃」や「意」といふ語があるからといつて「い」といふ仮名文字に特別な意味があるといへないのではないかな、と。

私は意味と云ふのは、「語」に備はるものだと考へてゐます。假名は表音文字で(も)ありますから、漢字のやうに、その文字なり形なりが意味を有するものではない。だから仮名文字に特別な意味があるとはいへないと云ふのは、先に同意したとほりなので、その點に關しては意見を同じうしてゐます。

では一體、私は寸゛さんのどんな處に引掛かつたのか。初め「ゐ」の意味と云ふことに對し、寸゛さんがあくまで假名「文字」の意味と云ふのを問題にしたのに對し、私は敢て假名の「語」としての意味を持ち出したのです。

端的に言へば、私にとつて「ゐ」とは、文字であるよりも先づ「語」であることが、先に立つのです。