生活記録

日々のこと(旧はてなの茶碗)

讀了

真性活字中毒者読本―版面考証/活字書体史遊覧

真性活字中毒者読本―版面考証/活字書体史遊覧

色々考へさせられる。氣になつたフレーズを拔出す。

字体という抽象的な概念と実字形の関係(府川)

字体を実体主義的に「骨骼」だととらえると書体を超えた字体差が位置づけられない。(府川)

それから字体、書体、書風というようないろいろな射映面を綜合して一つ一つの実字形があるわけです。嘗て、字体というのは「文字の骨骼」だと言われてきました。これは当用漢字表以来の言い方なのですが、でもそんなことを言ったら骨骼というのは文字の中央に一本針金が入っているということなのか。それだったら楷書の「しんにゅう」と明朝の「しんにゅう」では完全に針金の造作が違う。また明朝体で区別されているキャラクタが楷書系では区別されないということもある。では、書体差を貫通しているはずの「字体」とは一体何なのか。(府川)

デザインというのは基本的には論理の世界だというふうに思います。論理があって、その上に優れた感性が要求される。(小宮山)

一字下げ

前から氣になつてゐたのだが、この本も『旧字旧かな入門』も『漢字問題と文字コード』も『難読語辞典』も、段落の行頭を一字下げしてゐない。書籍では、なかなか目にしない組版だ。一體どのやうな意圖が。