宇佐美辰一『きつねうどん口伝』(ISBN:4480034250)讀了。
聞き書きで書かれた本なので、宇佐美さんの語りがそのまゝ記されてゐる。 基本的にです、ますの丁寧語なのだが、合間に「食べはる」「おます」「〜せんと」といつた言葉が出てくるので、それがとても心地良い。思はずこちらもうつとりと聞き惚れる始末。
大阪のきつねうどんの味は、はんなりとした味、すなはち、
あつさり、こつてり、まつたりが三位一體となつた
ものだと云ふのを初めて知る。私はずつと東京育ちなので、關西の食文化をろくに知らない。
でもこの宇佐美さんの語り(文章)をみて、
おうどんのやうな良質の味ひを釀し出してゐると思つた。
まさにこれこそが「はんなり」と云ふものだと確信してゐる。