石神井川沿ひにて。基本的に私の行動範圍では、犬と猫と鳩しか見掛けないので、あへて無生物も寫眞に收めてみた。こんなのを玄關に置いてみたい。
飲食店などで、よく信樂燒の大きな貍が店先に置かれてゐるが、あれは一體どのやうな謂れあるのか知らなかつた。檢索してみると、「他拔き」に掛けてゐるとのこと。縁起物なのだ。
ところが、永六輔の『商人』(ISBN:4004305578)を讀んでゐたらこんな記述を見つけた。
京都祇園の商売というのは、紹介状がなければ成立しない。
「いちげん」が「裏を返し」、三度めで「馴染み」になり、 そこからが客なのである。
祇園でなくても、高級料亭では現金の支払いはさせない。 月末に「旦那様へ」と書かれた巻紙で請求される。
現金、それも前金でという店には、信楽焼の狸が置いてある。
あの狸は、堂々と、前に金玉を下げて前金を要求しているのだ。
思はず納得。