松原正先生の東京講演會に出席する。早稻田奉仕園のキリスト教會館を初めて訪れたが、珍しい建物が多く目をひく。
松原先生は隨分よく通る聲だつた。枕から本題に這入り、話が熱を帶びてくる。どんどんと話に引き込まれてゆくのを感じた。私は理想を持ち、それに就いて語る人が好きだ。甘つたれた夢想でなく、 たゞ勢ひまかせの妄念でもなく、眞に考へることによつて、理を突き詰めることによつて、鍛へ上げられた言葉を目の當たりにしてゐた。
「變はらないもの」そしてそれらを「(獨りで)考へること」と云ふことを私は受け取つた。あつと云ふ間に時間が過ぎて講演は終了した。