奥本大三郎編・譯『ファーブル昆虫記1〜6*1』(集英社文庫)讀了。
原著は、ぜんぶで十巻あるが、これはその中から、とくにおもしろくて重要なところをとりだして、
わかりやすく書きあらためたもの
なのですらすらと讀み進む。
昆蟲達の生態や多樣さに驚く。觀察から疑問を呈し、樣々な假定を立てて推理し、實驗を行ふといつた流れは、一級のミステリに通じる面白さがある。
何よりファーブル先生の昆蟲に向ふ姿勢にうたれる。活き活きとものを見つめて、ものを考へるといつたことがとても眩しくみえた。羨ましくさへ思ふ。近頃にはない、學問をすることの歡びや樂しさをこれ程まで感じさせて呉れる本はなかなかなかつた。