弥生美術館にて長沢節展を觀に行く。
鉛筆によるクロッキーを一目見た時、目が離せなくなつて了つた。何といふ奔放な線描だらう。そして六十年代頃の墨と水彩で描かれたスタイル畫には心底參つて了つた。恰好いゝ*1。かういふ滅多に使はない形容を用ゐたくなつた。
けふはモノ・セックス・ショウが開催されてゐた。解説によると、
男女ペアになったモデルに同じ服をまとわせることで、人がいつの間にか〈男らしさ〉〈女らしさ〉といった固定観念に縛られていることを暴き、そこから開放された〈人間美〉〈個性美〉を提示する
といつたものらしい。
痩せ細つた男女のモデル達が館内をウォーキングする。お洒落なブラウスやシャツにミニスカートといつた組み合はせから、古代ギリシア調とでもいふのか、矢鱈に露出度の高いものまで色々とみる。ブーツは可成り凝つたものが澤山あつた。
たしかに見慣れてくると、何々らしさといふものの見方よりも、その衣裳を纏つたモデルの美しさそのものを、たゞ見ることが出來るやうになつたかもしれない*2。附け加へると、矢張り女性モデルの方が、總じて見せ方が巧い。
ショウの間は、BGMを流さず、肅々と進行してゆくのが良かつた。此の種の催しでは必ず大音量の音樂が掛かるものだけど、拍手と跫音だけが響くこの靜肅さが、どれほど贅澤なものか體驗してみないと判らなかつた。