生活記録

日々のこと(旧はてなの茶碗)

蒐集家・出光佐三のこころ

出光美術館にて、「出光コレクション100周年 蒐集家・出光佐三のこころ」を觀に行く。とても良かつた。

這入つてすぐの處にムンクの繪があつた。彼の繪は、見てゐるとあらゆるものが歪んできだす。そしてお目當のルオーの繪をたつぷり眺める。繪の側に解説が添へられてゐるのだが、そこに書かれてゐた出光佐三の言葉が印象に殘つた。

キュッと筆で画いた線が見える。これは日本画じゃないか。

さう言はれると、何故私はルオーに惹かれるのか、その理由の一端が些し掴めたやうな氣になつた*1

第1展示室で仙{厂’圭}の畫を初めて見る。とてもチャーミングだつた。あと何より目を惹いたのは數々の古唐津だつた。繪唐津松文大皿の澁い色合ひ。繪唐津丸十文字茶碗の絶妙な形。目の毒だ。

硝子のケースに納められてゐたから助かつたが、剥き出しの儘晒されていたら、正氣を失つてゐたことだらう。

他によかつたのは、小杉放菴の屏風「梅花小禽 二曲一双」と、金銅佛立像(北魏・太和八年*2)が目にとまつた。それ程込んでゐなかつたので、落ち著いて見られた。

*1:でもこの理由を大眞面目に口にしたら、氣が狂つたと思はれるかもしれないな。

*2:西暦484年