生活記録

日々のこと(旧はてなの茶碗)

三册讀了

思ひの他すらすらと讀めたのは意外だつた。尤も理解しながらと云ふよりも、對話形式による話の勢ひに乘せられて、あれよあれよと云ふ間に運ばれていつたやうなものである。結局訣が分らん儘だつたりする。

たゞこの本の難しさは、聞き慣れない語彙*1なり、著者の云ふ「マテリアル」や「質料」「スケルトン」といつた概念からきてゐるのではないと思つてゐる。寧ろどこまで問ひ(意識・生命とは何か?)を共有してゐるか、と云つた處に勘所があるのではないか。

期待通りの内容だつた。理性と信仰の關はりに就て興味があるので、非常に樂しく讀む。痺れるやうなフレーズが續出する*2。「文法」が出てくるのが流石だ。

ライプニッツは私にとつて、何處か取附端がなかつた。學問のあらゆる分野に就て言及してゐるからと云ふのもあるし、それだけではなく解説を讀むと、實は主著と云へるものがなく、樣々な斷片の中に分散した形で纏められてゐると云ふ。

この本の面白い處は、ライプニッツ哲學の解説といつたところではなく、著者が哲學に抱いてゐる想ひなり、哲學に對する態度の方だつたりする。そこが文章に出てゐてよかつた。著者も、この本は研究書ではなく招待状だと書いてゐる。

*1:理論生命科學からきてゐるのか

*2:一つ擧げると「神学者は理性なしに狂い、哲学者は理性をもって狂ってしまう!」