生活記録

日々のこと(旧はてなの茶碗)

500個の風鈴の音を聴く

仕事が引けた後、池上本門寺へ向ふ。今日から暫く、澤山の風鈴が釣り下げられてゐると云ふので見に行く。音を聽くのなら、夜中の方が好都合かもしれない。晝間だと蝉がうるささうだ。

參詣を濟ませて、人氣の無い境内を迂路々々する。風鈴は慥かに澤山あるが、一つ一つの音がそれ程大きくない。寧ろ風鈴の音よりも蟲の音の方が大きい位だ。多數の風鈴の音が共振を起こす樣を聽いてみたかつたが、風もそれ程なく、引切無しに鳴つてゐる訣ではない。何だか想像とは違ふ。

仕方なしに燈籠の側に適當に腰掛け耳を澄ます。風鈴の音がそれなりに聞き取れるやうになつてきて、心地良くなつてきた。何處からともなく鳴り響く蟲の鳴き聲と風鈴の音が、溶合つたり、重なつたりする。天上の音樂。これは初めて體驗するサウンドスケープだつた。