生活記録

日々のこと(旧はてなの茶碗)

東京製本倶楽部展 本の国、本のかたち

無題

目黒区美術館区民ギャラリーにて。

元宮内廳書陵部の櫛笥節男氏による和裝製本の實演を見學する。「折本」と「袋綴」がどのやうに作られるかを眼の邊に出來るなんて滅多にない。二時間立ちずくめで疲れたけれど滿喫した。

宮内庁書陵部 書庫渉獵―書写と装訂

宮内庁書陵部 書庫渉獵―書写と装訂

目打ちに對する指の添へ方や、刷毛で糊を塗る手捌き等を注視しながら、これは職人だなあと月竝みに感じてゐた。遣ひ込んだ道具(尺定規*1や數々の木片)も樂しい。机の上にあがつて裁包丁*2で紙を器用に切り始めたのには驚いた。

實演の後、展示されてゐる澤山の本達を見る。幾つかの展示では、手袋をして實際に本に觸れられるのがよい。うつとりとして了ふ。普段は見過ごして了ふ、本の持つ物としての在り方が、より強く意識される。アダナ印刷機で刷られたものもあつた*3

*1:長さの單位が尺寸の世界だ。

*2:柄の無い四角い片刃の包丁

*3:津村明子「創作 大出張」